1.  この連載の第2回で「スキルとセンスの違い」を強調しました。スキルとは、ITを使えるとか、英会話ができるとか、財務諸表を読める(会計のスキル)とか、現在企業価値を計算できる(ファイナンスのスキル)、法律の知識がある、プレゼンテーション・スライドをつくるのが上手とか、あげていけばきりがないのですが、そういうことです。担当者の仕事のレベルであれば、このようなそれぞれの専門分野でのスキルで勝負できます。

     しかし、経営者としてものを言うのは、スキルよりも圧倒的にセンスです。優れた経営者に好き嫌いがはっきりしている人が多いのも、好き嫌いが経営の「センス」や「直観」の鋭さと密接な関係にあるからだと思います。

     スキルとセンスの決定的な違いは、スキルがひとつの物差しの上で「どのレベルに達しているのか」という量の多寡の問題(英語力でいえばTOEICが何点とか)であるのに対して、センスは千差万別だということです。センスのよさを測るひとつの物差しはありません。人によって好き嫌いが異なるように、センスの方向性も人によって様々です。

     ただし、センスのない人とある人で厳然とした違いがある。「誰も説明できない。しかし、見る人が見ればすぐにそれとわかるのがスタイルだ」という名言がありますが、ここでいう「スタイル」を「センス」に置き換えても、同じことがいえるでしょう。